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経理担当者に日商簿記1級は必要か

経理担当者に日商簿記1級は必要か

日商簿記1級について

公認会計士、税理士になるための登竜門として知られる資格。
出題科目は、商業簿記・工業簿記・会計学・原価計算の4科目あり、日商簿記2級とは比べものにならないほど難しい内容が問われます。

大学で専門的に学ぶような内容であり、その難しさのあまりに挫折してしまう受験生も多くいます。
合格すると、税理士試験の受験資格が得られます。

中小企業の経理担当者であれば2級で十分

日商簿記1級の出題内容は、いわゆる大企業の経理担当者が日常的に行うような経理処理であり、中小企業の経理部門で働いている方であれば、1級まで持っていなくても問題なく、2級まで持っていれば十分な場合がほとんどです。

しかし、以下のような場合は、1級まで取得しておいた方が良いでしょう。

1. 上場(株式公開)の準備をしている会社
2. 子会社を2社以上持つ会社
3. 海外との取引が盛んな会社または、海外に事業所を持つ会社

簿記検定1級の出題範囲に、外貨換算会計と連結会計があります。
これらの論点は、子会社との内部取引がある場合や海外に子会社または支社を持つ会社の経理処理を想定したものが多く、当然、実務で活かせる知識が養えます。

また、上場を控えている場合、監査法人や顧問会計事務所と何度も打ち合わせをします。
その時に、自社の財務数値や経理処理などについて、正確に伝えなければなりません。
この辺の知識に関しても、日商簿記1級程度の知識があれば、問題ないです。

上場企業の経理なら取得しておくべき

上記のような例外を除き、中小企業の経理担当者であれば、日商簿記2級まで持っていれば問題ありません。
スキルアップを目指す場合、日商簿記1級より、FP技能士や税理士試験科目などの方が、業務によっては良いケースもあります。

しかし、やはり上場企業や国際的な会社の経理担当者であれば、頑張って日商簿記1級までは取得しておきたいところです。
たとえ1級を持っていなくとも、2~3年程、同じ業務に携わっていれば、実務経験でなんとかなるとは思いますが、いつ何が起こるか分からない時代です。
突如として1級の知識が必要と迫られる時があるかもしれません。

子会社が増えたり減ったり、取引する国が増えたり、大規模な設備投資を検討するための参考資料の作成を上層部から依頼されたり、これらの業務は、日商簿記1級で勉強します。

携わる業務の入門書や専門書で勉強する

1級のテキストや問題集をざっと見ただけで、モチベーションが一気に下がってしまう方も少なくありません。
公認会計士や税理士を目指している方であれば別ですが、そうでない場合、現在の業務で役に立つかどうかも分からないまま、貴重な仕事以外の時間を1級の受験勉強に充ててよいものなのか、不安に思う方も多いと思います。

その場合、ひとまず書店の企業会計コーナーに並んでいる本で勉強してみると良いでしょう。
確かに、日商簿記2級を取得して時間が経っている方や、簿記検定の資格も持っていない方が、いきなり1級を目指すのは、苦痛かもかもしれません。

現在、上場企業の経理部門で働いている方であれば、今後、必要になりそうな知識を見極め、それに関する本を定期的に読むようにします。

ちなみに、本を読んで勉強することは、なにも上場企業の経理担当者に限った話ではありません。会社の規模に関係なく、経理担当者は常に自己研磨する必要があるはずです。

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