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法人の決算月の現状と決める際の注意点

法人の決算月の現状と決める際の注意点

法人の決算月をいつにするかの決まりはありません。
法人を設立する時には決算月を決めなければならないのですが、決め方に特に指定もないし、かといって重要なことにも思えるので、てきとうには決められなさそうなことでもあり、何月にすべきか迷うところでもあります。

法人の決算月の現状

法人の決算月の実態ですが、3月決算の法人は全体の約20%で、9月決算が11%、12月決算が10%、6月決算が10%となっているようす。

やはり3月決算の法人が多いようです。これは、国や市町村などの会計年度が4月から3月であるということが影響しているようです。

法人の決算月はとりあえず3月で大丈夫?

決め方に指定がないし、いつでもいいということなので、「国や市町村の他、多くの法人が決算月を3月としているから、うちも3月でいいか」と考えがちになるかと思います。

ですが、3月決算の法人が多いということは、決算書や税務申告書を作成をしている会計事務所側から見ると、3月決算の申告が多い5月に業務が集中することになります。

年末ごろから年末調整、個人確定申告、3月決算法人の決算及び確定申告と立て続けになります。
このことが、自社の決算の遅れや税金の納付の遅れなどにつながることも考えられます。

法人の決算月を決める時に考えること

決算の作業は何かと手間がかかることが多いです。
そのため、自社の繁忙期に決算や税務申告の作業が重ならないようにすることが一番重要かと思います。
具体的には、決算月後2ヶ月の間に自社の繁忙期や書き入れ時が重ならないようにします。

次に資金繰りの予定です。
税金の納付は税務申告書の提出期限と同じになります。
つまり、決算月の翌々月になります。(3月決算であれば、5月末が申告書の提出期限であり、かつ法人税の納付期限です。)

PAK83_500encointachi20140305-thumb-autox1000-16748この税金の納付月に資金不足になって税金が未納になってしまわないようにする必要があります。
またよく聞くのが、決算月が4月や5月の法人で、法人税の納付時期と固定資産税や自動車税などの納付時期が近くなってしまい、「なんか税金ばかり払っている気がする」なんていう話です。

他にも、税務調査がある場合、だいたい決算月から半年ぐらい遅れでくるようです。
決算月が夏ごろだと、税務調査の時期が税務署が個人確定申告等で忙しい3月頃になることもあるようです。
また、税務署の人事異動が7月頃のため、税務調査を6月中に終わらせたいという事情もあるようで、その頃に税務調査があった場合には早く終わらせたいと考えていることもあるようです。

決算月は変更できる

決算月は変更が可能です。
手続きは主に税務署に異動届出書を提出することとなります。

株主総会の特別決議と定款の変更が必要になりますが、決算月は登記簿謄本に記載されていないので登記費用などはかかりません。

決算月の変更は、税金の繰延につながることがあります。例えば、8月から大きな利益が出る見込みであった場合に、決算月を7月末に変更すれば、8月に計上される利益にかかる法人税は次の決算(通常は1年後)まで繰り越すことができます。

さらに言えば次の決算までに、その見込んだ利益分、損金となる経費が出れば税額が減ることもあります。

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この記事を書いた人
assetsbuilders
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会計事務所に勤務ののち、2016年12月法人を設立。税理士と提携しクラウド会計ソフトの導入と経理支援を行う。またAFP資格を有し、生命保険や株式投資、資産運用などファイナンス分野でのアドバイスも行う。
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