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接待交際費、個人事業と法人での取扱いの違い

接待交際費、個人事業と法人での取扱いの違い

接待交際費を税法上、経費として処理するための取扱が、所得税(個人事業)と法人税とでは違ってきます。

接待交際費とは

税法上の交際費とは、「交際費、接待費、機密費、その他の費用でその得意先、仕入先その他事業に関係ある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するもの」(法人税法)とされています。
一般的には、お客様などをもてなすための飲食代や、取引先の葬儀での香典などをイメージするのではないかと思います。

交際費の考え方

交際費の考え方では、支出する相手の中に「その他事業に関係ある者等」という言葉が入っています。これはつまり、会社の株主や役員、従業員なども含まれるということになります。

つまり、役員や従業員との忘年会などの費用も交際費になると言えるのですが実際には福利厚生費などの科目で経理処理をしていることと思います。

これらの費用については、大きな括りでは交際費に該当すると考えられますが、交際費の取り扱いの中に、「主として次に掲げるような性質を有するものは交際費等には含まれないものとする」という文言があるため、交際費として処理していないということになります。
また、「事業と関係のない者」に対する費用は、そもそも交際費ではありません。(寄付金等に該当します。)

所得税法上の交際費

交際費としての考え方は、法人税法とほぼ同じです。
ですが、個人の場合には必要経費という考え方が出てきます。

個人事業者の必要経費とは

必要経費とは、「収入を得るために直接必要な売上原価や販売費、管理費その他費用のこと」とされており、ポイントは収入を得るために「直接」必要な費用であるかというところにあります。

例えば、親せきや友人と食事に行ったとき、事業に少しだけ関係があるから、交際費としたということがあった場合、その時の費用が事業に「直接」必要なものだったのかということが疑われます。

たとえば、少し極端かもしれませんが、本当にそこで食事をする必要があったのか?
食事の時に収入を得るための会話をしていたのか?ということが問われることになるかもしれないということです。

実際に所得税の必要経費に関する判例(東京地裁平成5年10月4日判決(税資199号1頁))で、不動産貸付業を行っていた人が使っていた、車の維持に係る費用やインターネット利用料、電話代などが事業と「直接的」な関係性が見られないため認めないとされた事例があります。

つまり、個人事業者(所得税法)での交際費には、交際費とする以前に、その費用に事業との直接的な関係性が必要ということです。

法人と個人事業の交際費

個人事業(所得税法)での交際費には、交際費として処理する前に、その費用が収入を得るために直接必要なものかどうかが重要になるのですが、法人税法にはその規定がありません。

なぜならそもそも法人とは、基本的に営利を目的とする存在だからです。営利、つまり利益を求めることが法人の存在意義となるわけなので、利益に関係のない行為はしないものといえます。
そのため、わざわざ必要経費という考え方を持ち出す必要はないと考えることもできます。

そのため、法人税法上の交際費には「支出の目的、相手、方法」が定められているだけになっています。

このことが、法人と個人事業の交際費の取扱の大きな違いになってきます。
例えば法人は、支出の相手先が、事業に関係のある者であれば、その支出に直接的な収入との関係性が見られなくても交際費として処理できることになるので、事実上、個人事業に比べ交際費として認められる範囲が広いことになります。

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この記事を書いた人
assetsbuilders
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会計事務所に勤務ののち、2016年12月法人を設立。税理士と提携しクラウド会計ソフトの導入と経理支援を行う。またAFP資格を有し、生命保険や株式投資、資産運用などファイナンス分野でのアドバイスも行う。
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