理論株価の導き出す方法として配当割引モデルによって理論株価を算出する方法を前ページで解説しましたが、これには来期以降の配当が予想しづらいという難点がありました。
ここでは、配当が毎期一定の率で成長するという仮定で理論株価を算出する定率成長配当割引モデルを説明します。
計算式を見ていこう
早速、計算式を見てみましょう。
ここで、わからないのが割引率と配当の成長率の計算方法でしょう。
まずは配当の成長率の計算方法です。
こう分解すると、株式投資に馴染んでいる方にはわかり易くなったかと思いますが、念のために、ROEと配当性向の計算方法も記載しておきます。
・1株当たり配当額 ÷ 1株当たり当期純利益 × 100
割引率の計算式は、次のようになります。
何やら難しい言葉が出てきましたね。これは個人投資家にとって入手し難いデータで、ここでは意味がないので解説は省略しますね。
ここでは、上記理論株価の計算式を逆算して割引率の計算式を求めてみましょう。
以上の計算を基に、理論株価の計算式を分解すると以下のようになります。
定率成長配当割引モデルの計算例
それでは、ある会社が上方修正した際の例を見てみましょう。
現在の株価が500円の○○株式会社が、業績の上方修正をしました。
これによって予想1株利益は、20円から30円に増えました。ROEは5%から6%に上昇しました。配当性向は30%で一定、割引率が一定であると仮定してこの株はいくらまで買えるかを計算してみましょう。
まずは上方修正前の数値より割引率の計算を行います。
ここでは、上記理論株価の計算式を逆算して割引率の計算式を求めてみましょう。
= (30% × 20円 ÷ 500円) + 5%(1 - 30%)
= 1.2% + 3.5%
= 4.7%
割引率が計算できれば、しめたものです。
上方修正後の数値を、上記理論株価の計算式に当てはめていきます。
= (30% × 30円) ÷ 4.7% - 6%(1 - 30%)
= 9 ÷ 0.5%
= 1,800円
結論としては、500円だった株価は上方修正により1,800円まで買えることになりました。
こういった計算方法を覚えておくと非常に便利ですね。