ここでは、H18年施行の会社法により「貸借対照表」がどう変わるのかを解説していきます。
変更点は、以下のようになります。
- これまで負債の部に計上されていた「新株予約権」を「純資産の部」に取り込むなど純資産という新しい概念が誕生しました。
- 当期未処分利益が繰越利益剰余金に変更されます。
- 科目表示が変更になりました。下記の図で確認しましょう。
従来の貸借対照表 | |||
[資産の部] | [負債の部] | ||
---|---|---|---|
Ⅰ.流動資産
現金及び預金 Ⅱ.固定資産 有形固定資産 |
1,600 1,500 700 650 550 5,000 2,700 |
Ⅰ.流動負債
買掛金 Ⅱ.固定負債 長期借入金 |
1,200 300 1,500 3,000 1,200 |
[資本の部] | |||
Ⅰ.資本金 Ⅱ.資本剰余金 1.資本準備金 2.その他の資本剰余金 資本剰余金合計 Ⅲ.利益剰余金 1.利益準備金 2.別途積立金 3.当期未処分利益 利益剰余金合計 Ⅳ.土地再評価差額金 Ⅴ.株式等評価差額金 Ⅵ.自己株式 資本合計 |
2,000
200 500 |
||
資産合計 | 10,000 | 負債及び資本合計 | 10,000 |
それでは、上の従来の貸借対照表を会社法に対応したものにしてみましょう。
※変更箇所は太字で表示しています。
会社法に対応した貸借対照表 | |||
[資産の部] | [負債の部] | ||
---|---|---|---|
Ⅰ.流動資産
現金及び預金 Ⅱ.固定資産 有形固定資産 |
1,600 1,500 700 650 550 5,000 2,700 |
Ⅰ.流動負債
買掛金 Ⅱ.固定負債 長期借入金 |
1,200 300 1,500 3,000 1,200 |
[純資産の部] | |||
Ⅰ.株主資本 1.資本金 2.資本準備金 (1)資本準備金 (2)その他の資本剰余金 資本剰余金合計 3.利益剰余金 (1)利益準備金 (2)その他利益剰余金 a.別途積立金 b.繰越利益剰余金 利益剰余金合計 4.自己株式 株主資本合計 Ⅱ.評価・換算差額等 Ⅲ.新株予約権 |
2,000
200 500 300 700 800 |
||
資産合計 | 10,000 | 負債及び純資産合計 | 10,000 |
※上の貸借対照表を見てわかるとおり、太字で変更表示していない箇所も、大科目と中科目などの細かい変更があります。
ポイント
- 商法の計算書類と他の決算書を見比べる場合は、負債の部・資本の部が新株予約権の分だけ合わない。
- 「当期未処分利益」は、「繰越利益剰余金」に変更された。
- 「株式等評価差額金」は、「その他有価証券評価差額金」に変更された。
- 大科目や中科目の表示の仕方が大幅に変更された。