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猿でも解る税効果会計講座

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税効果会計とは?

税効果会計とは、会計上の収益-費用と税務上の益金-損金による差異を調整するものです。

繰延税金資産とは「税金の前払い」や「課税の繰延」という意味の科目で、繰延税金負債とは「税金の未払い」というように考えると少しわかりやすくなると思います。

難しいことをここで色々と書いても初心者の方は恐らく理解出来ないでしょうから、なるべく簡単に解説していきます。
まずは、税効果会計適用前の決算書から見てみましょう。

損益計算書ができるまで

税効果会計を知るには、税金がどのように計算されているかをおおまかでいいですので理解しなければなりません。
税金の計算は当期利益に税率を掛けるのではなく、課税所得に税率を掛けるというところが肝になってきます。
課税所得という聞きなれない言葉が出てきましたがここでは無視しましょう。
詳しくは以下のようなイメージです。

① 損益計算書(単位:万円)
売上高
売上原価
営業利益
貸倒引当金繰入額
当期純利益
1,500
500
1,000
100
900

・単純に考えれば当期利益に40%を掛けた、900×40%=360万円 が税金となりそうです。

当期純利益900-税金360の540が税引き後当期純利益となれば楽なんですが・・・

しかし、実際の税金計算には例えば貸倒引当金繰入額には上限があり、「会計上は100円の費用を計上したのだけれど、税金計算の際はそれの50%(50円)しか認めませんよ!」という場合があります。

それならば、以下のように税金を計算しなければなりませんよね。

下の図は税金計算のイメージです。法人税はこのように当期利益に費用として認めてもらえない分を加えたり、費用として損益計算書に計上していないのだけれど費用として認められる場合は減らしたりして計算されます。
この計算結果が課税所得です。

税金計算(単位:万円)
当期純利益

費用として認められなかった金額

課税所得

900

+50

950

・実際の税金は、当期純利益ではなく課税所得に40%を掛けた、950×40%=380万円 が税金となります。

税金計算が終わりましたので、以下のように税引き後当期純利益まで完成しました。

損益計算書(単位:万円)
売上高

売上原価

営業利益

貸倒引当金繰入額

当期純利益

法人税等

税引き後当期純利益

1,500

500

1,000

100

900

380

520

・ここまでが、税効果会計適用前の損益計算書です。

法人税というのは当期利益に40%を掛けた、900×40%=360万円になるのではなく、課税所得に40%を掛けた、950×40%=380万円となるところがポイントです。

上の例では貸倒引当金繰入額の半分しか費用として認めてもらえなかったので、税金が20万円増えてしまいましたね。

この20万円の差を調整するために税効果会計があります。
[20万円 = 50万円(費用として認めら得なかった金額) × 40%]

上記のように法人税が増えてしまうような場合は、差額を繰延税金資産という科目で貸借対照表の資産に計上し、同時に法人税等調整額として損益計算書の法人税等から差し引きます。

仕訳

借方 貸方
繰延税金資産 20 法人税等調整額 20

※項目によって流動資産に表示するのか固定資産に表示するのかを検討します。

損益計算書(単位:万円)
売上高

売上原価

営業利益

貸倒引当金繰入額

当期純利益

法人税等

法人税等調整額

税引き後当期純利益

1,500

500

1,000

100

900

380

20

540

・法人税等調整額を計上することで、法人税等がで計算した360万円となり、食い違っていた会計上の損益と税務上の損益が同じになりました。

・こうやって会計と税務の認識の違いを無くすものが税効果会計です。

逆に、法人税が減ってしまうような場合は、差額を繰延税金負債という科目で貸借対照表の負債に計上し、同時に法人税等調整額として損益計算書の法人税等にプラスします。

仕訳

借方 貸方
法人税等調整額 20 繰延税金負債 20

※項目によって流動負債に表示するのか固定負債に表示するのかを検討します。

または、繰延税金資産が既に貸借対照表に計上されている場合は、逆仕訳として繰延税金資産をマイナスします。

借方 貸方
法人税等調整額 20 繰延税金資産 20

(注) 説明文にある法人税率や貸倒引当金繰入額限度額はわかりやすくする為の例で、実際は細かい計算があります。ここでは細かいことは必要ありませんので簡略化しています。

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