退職給付会計の税効果会計上の取扱い

退職給付費用の税務上の取扱い

退職給付に関して損金算入される時点および金額は、退職一時金制度については実際に退職給付を支払ったときにその額が、企業年金制度については、掛金の拠出時にその額が損金算入される。

なお、従来退職一時金制度について認められてきた退職給与引当金の計上が認められなくなり、平成14年4月1日から平成15年3月31日までの間に開始する事業年度(改正事業年度)の期首において計上していた退職給与引当金は、次のようにして全額取り崩して益金に算入しなければならなくなった。

会計事業年度終了時の資本金
1億円以下・・・改正年度の期首における退職給与引当金を10年間にわたり10分の1ずつ取り崩す。
1億円超・・・改正年度の期首における退職給与引当金を改正事業年度およびその翌年は10分の3ずつ、それ以降は10分の2ずつ取り崩す。

退職給付会計と税効果会計

会計上は退職一時金と企業年金を区別せず、実際の退職給付の支払いよりも早い時点で、退職給付費用が損益計算書上の費用となる

(借)退職給付費用    XXXX   (貸)退職給付引当金    XXXX

費用

税務上はいずれについても支払時の損金となる。すなわち退職一時金制度の退職者への給付および企業年金制度の掛金の拠出が損金となる。
(借)退職給付引当金   XXXX   (貸)現金預金        XXXX

損金

計上した退職給付費用が現金預金の減少を上回る場合には繰延税金資産が計上され、下回る場合は繰延税金負債が計上(繰延税金資産の減少)される。
税法改正年度以後の年々の取崩額は、退職給付の支払または掛金の拠出による損金算入のマイナスと考えればよい。

設例

平成17年3月期 資本金5億円 外部積立型の退職年金制度を採用 実効税率40%
退職給与引当金の半額を益金算入する年度に該当する
・退職給付費用      50,000千円
・掛金の拠出        30,000

ケース1

期首における税務上の退職給与引当金の残高を40,000千円とする
会計上の費用50,000に対して、税務上の損金30,000と退職給付引当金の税務上の取り崩し益20,000となり、40,000だけ会計上の費用が大きい。

会計上の仕訳

(借)退職給付費用 50,000 (貸)退職給付引当金 20,000
(貸)現金預金 30,000

税務上の仕訳

(借)退職給付引当金 40,000 (貸)退職給付費用 20,000
(貸)退職給付引当金取崩益 20,000

会計と税務のずれ40,000について繰延税金資産16,000千円を計上

(借)繰延税金資産 16,000  (貸)法人税等調整額 16,000

ケース2

期首における税務上の退職給与引当金の残高を80,000千円とする

会計上の仕訳

(借)退職給付費用 50,000 (貸)退職給付引当金 20,000
(貸)現金預金 30,000

税務上の仕訳

(借)退職給付引当金 60,000 (貸)退職給付費用 20,000
(貸)退職給付引当金取崩益 40,000

会計と税務のずれ60,000について繰延税金資産24,000千円を計上

(借)繰延税金資産 24,000  (貸)法人税等調整額 24,000
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