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法人設立が節税につながる理由

法人設立が節税につながる理由

「節税のために、法人化しましょう」という話をよく聞くと思います。
法人化することが、なぜ節税になるのか?法人にはどのような節税策があるのでしょうか?

法人設立が節税になる理由とは?

法人化することで節税につながる大きな理由は、役員報酬を経費にできるからです。

個人事業の時は、役員報酬がないので、利益がそのまま課税所得となってしまいますが、役員報酬として法人から給与を受け取ることで、給与所得控除を使うことができます。

 
事業利益 500万円 
青色申告特別控除 65万円 
事業所得 435万円

役員報酬 500万円
給与所得控除 155万円
給与所得 345万円

所得の差額 90万円

給与での所得のほうが少ない場合は、当然、その分所得税額(及び住民税)は減ることになりますね。

結果として、役員報酬として給与を受け取ったことによる給与所得控除が、青色申告特別控除の65万円を超えていれば、給与所得控除と青色申告特別控除の差額は、課税されない所得になります。

個人事業にはない法人ならではの節税策

法人化することで、個人事業では不可能な節税方法は役員報酬の設定以外にも多々あります。
例としては以下のようなものがあります。

1. 生命保険料の損金計上

 個人で加入している生命保険は、所得税の生命保険料控除が受けられます。
しかし、生命保険料控除には限度額があり、控除が受けられる金額はそれほど大きなものではありません。

しかし、法人で契約することで、掛捨ての定期保険など一部の保険商品は全額損金に計上することも可能になります。

2. 家賃の損金計上

自宅を事務所として使用している場合、個人事業では事務所家賃として家賃を設定しても必要経費にすることはできませんが、法人に貸して家賃を支払う場合には、法人は家賃を損金に計上することができます。

3. 欠損金の繰越できる期間の違い

事業で赤字になったときに、その赤字を翌期以降の黒字と相殺できる繰越欠損という制度があります。
個人の場合には、3年間しか赤字を繰り越すことができませんが、法人は9年間繰り越すことが可能です。

他にも、減価償却の計算方法や交際費の取扱の違い、旅費規程の設定などがあります。

法人化と社会保険料

個人事業の場合の社会保険は、国民健康保険に加入しているケースが多いと思います。
国民健康保険は、事業所得から計算されるため利益が大きくなると、ほぼ比例して健康保険料の金額も大きくなっていきます。

法人化すると、社会保険に加入することが義務になりますが、社会保険の厚生年金及び健康保険は法人の利益ではなく、役員報酬の額から保険料が決定されるようになります。

つまり、事業の利益のほとんどを法人の利益として残し、役員報酬を低く設定すれば社会保険料が個人事業の時よりも低くなることがあります。

極端な話ですが、役員報酬を月5万円程度にすると、厚生年金と健康保険の両方で会社負担分を含めても、月2.3万円程度となります。
個人事業の場合には国民年金だけでも月1.5万円ほどしますから、年金と健康保険を合わせた社会保険料がかなり抑えられる可能性もあります。

また、国民健康保険には扶養というものがありませんが、社会保険の場合には、一定の要件を満たせば、配偶者や両親などを扶養にすることもできるので、家族の分の社会保険料が抑えられる可能性もあります。

もし、役員報酬を低くしてしまったことで手取りが少ないと感じる場合には、会社から自宅を事務所として使用する対価として家賃をもらうようにすれば、社会保険料を上げずに手取りを増やすこともできます。
ただこの場合には確定申告が必要になったり、所得税や住民税は増加することもあります。

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この記事を書いた人
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会計事務所に勤務ののち、2016年12月法人を設立。税理士と提携しクラウド会計ソフトの導入と経理支援を行う。またAFP資格を有し、生命保険や株式投資、資産運用などファイナンス分野でのアドバイスも行う。
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