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税務調査の基本を解説~いざというときが来る前に~

税務調査の基本を解説~いざというときが来る前に~

いつ来るかわからない税務調査。
特に初めて税務調査の連絡を受けた場合には、かなり動揺するのではないでしょうか。
何事にも準備が大事です。
実際に税務調査を受けることになった場合に慌てないように、基本的なことを解説いたします。

1.税務調査の目的

そもそも税務調査は何のために行われているのでしょうか。
国税の賦課・徴収をつかさどっているのは国税庁ですが、その任務は財務省設置法第19条により以下のように定められております。

第19条  国税庁は、内国税の適正かつ公平な賦課及び徴収の実現、酒類業の健全な発達及び税理士業務の適正な運営の確保を図ることを任務とする。

この任務を達成する手段として、税務申告や納税が適正に行われているかを調査し、誤っている場合には、更正の実施または修正申告書の提出を求めるのが税務調査です。
言い換えれば、税務調査の目的とは、適正かつ公正な課税の実現です。

2.税務調査の形態

では、税務調査とはどのように行われているのでしょうか。強制捜査等は別として、一般の税務調査の形態としてはおおむね以下のようなものがあります。

・税務署等内で税務職員が、納税者の提出した申告書類を机上で審理する「机上調査」
・納税者に出署を求めて質問検査する「呼出調査」
・調査官が納税者の所在地等へ出向いて行う「実地調査」
・調査対象の納税者の申告内容の裏付けのために取引先に対して行われる「反面調査」
・反面調査のうち、銀行等の金融機関に対して行われる「銀行調査」

なお、ケースによっては税務調査ではなく行政指導に分類されるものもありますが、税務当局の活動としてまとめて記載しています。

3.税務調査の所轄組織

それでは、税務調査は誰が行っているのでしょうか。
税務調査の目的の項目で国税庁の任務を確認しましたが、今度はその組織構造を見ていきましょう。

国税庁は財務省の外局として設けられており、その下に国税局・沖縄国税事務所および税務署が設置されています。
そして、税務調査は国税局の担当部署または各地域の税務署が実施します。

国税局の管轄になるか税務署の管轄になるかは、調査査察部等の所掌事務の範囲を定める省令にて定められています。
原則としては法人の所轄を資本金基準で区分し、資本金一億円以下の内国法人は税務署の所管、その他資本金一億円超の内国法人及び外国法人を国税局が所管するとされています。

ただし、資本金一億円超であっても、国税局の個別判断により、税務署所轄となるケースもあります。

4.税務調査の調査対象期間

一般的には前回の税務調査で調査された申告年度の翌申告年度以降から、直近の申告年度までが対象となりますが、期間が空いている場合は過去3年分が調査対象期間とされるケースが多いようです。

ただし、税務当局による増額更正の期間は5年(不正行為等がある場合には7年間)であるため、5年は遡って調査される可能性があります。

5.税務調査の事前通知

税務調査に際しては、原則として、納税者に対し調査の開始日時・開始場所・調査対象税目・調査対象期間などが事前に通知されます。
その際、開始の日時について都合が悪ければ、調査日時の変更を求める事が出来ます。

この日程の変更については、納税者からの質問が多いためか、国税庁のHPのFAQに記載されております。
以下、該当部分の抜粋です。

問16 事前通知を受けた調査開始日時については、どのような場合に変更してもらえるのですか。

税務調査の事前通知に際しては、あらかじめ納税者の方や税務代理人の方のご都合をお尋ねすることとしていますので、その時点でご都合が悪い日時が分かっている場合には、お申し出ください。お申し出のあったご都合や申告業務、決算業務等の納税者の方や税務代理人の方の事務の繁閑にも配慮して、調査開始日時を調整することとしています。

国税庁HP 税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け) 問16より抜粋
https://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/data/h24/nozeikankyo/ippan02.htm

なお、例外として、事前通知行うことで、違法行為等により調査の適正な遂行に影響が出るおそれがあると判断された場合には、事前通知がないことがあります。

いかがでしょうか。税務調査は日常的に発生する業務ではありませんが、常日頃から準備を怠らず、冷静に対応することが重要ですね。

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この記事を書いた人
山田 大悟
山田 大悟
税理士。大企業から中小企業まで、会計・税務業務に10年以上従事。現在は一般企業の経営に携わる。
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