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管理会計の現在価値及び正味現在価値の重要性

管理会計の現在価値及び正味現在価値の重要性

ビジネススクールで会計の科目には、財務会計(科目名はアカウンティングでした)と管理会計の二つに分かれていました。
正しい日英対応では、財務会計はファイナンシャルアカウンティング、管理会計はマネジメントアカウンティングです。
ビジネススクール入学前は、私は会計とは、経理の帳簿付けぐらいにしか認識していませんでした。
それに近いのは、財務会計です。日商簿記検定2級を持っていた私には理解しやすいものでした。

財務会計とは

財務会計とは、単純には財務諸表を作成することです。
財務諸表とは、貸借対照表(Balance Sheet, B/S)、損益計算書(Profit/Loss Statement, P/L)が必須で、キャッシュフロー計算書(Cash Flow statement, C/F)も上場企業は作成しなければなりません。
主に企業の外部に対して提供するものです。
財務会計は、比較的理解しやすいでしょう。ほとんど日商簿記検定です。
ただし、キャッシュフロー計算書や連結決算書は、日商簿記検定1級の範囲ですので、ハードルは高いです。

管理会計とは

管理会計とは、基本的に、企業の経営の意思決定に利用されるものです。
企業のトップなどが、事業の現状を理解し、未来に向けて舵をとるために必要な情報を提供します。

管理会計は、財務諸表の分析、原価計算、予算管理、CVP(Cost, Value, Profit)分析などの分析、管理を行います。

現在価値及び正味現在価値

この中で、私が常に頭に残っており、ビジネスを行う上で、さらには買い物をする上で、意識しているのが現在価値(Present Value, PV)及び正味現在価値(Net Present Value, NPV)です。

お金の価値には、時間が影響します。
今100万円貰うのと、1年後に100万円貰うのとでは、100万円の価値が異なります。
銀行預金の利率が1%とします(この低金利時代にはありえませんが分かりやすくしました)。

1年後に受け取るこの100万円の現在の価値は、

PV = 100万円 / ( 1 + 0.01) = 99万100円

となります。

これは、今銀行に99万100円預ければ、ほとんどリスクなく1年後には100万円得られるということです。
同じ金額を貰うのであれば、早いほど良いということです。反対に、同じ金額を支払うのであれば、先の方が良いということです。

PVやNPVを考慮しなければならないのは、ある事業を行う場合、事業が数年後まで見通して黒字になるのかどうかを現在の時点で算定するために必要だからです。
単純にビジネスプランで収益予測を作成する場合、1年後の売り上げ、2年後の売り上げと想定する年数の売り上げを合計します。
事業規模にもよりますが、私の経験上では3年でコストを回収するのを目標とします。
この時、1年後の売り上げが100万円の予測をしたとして、実際のPVは99万100円です。
このように単なる売り上げ予測値ではなく、各年度のPVを合計し、コストを引いてNPVを出し、これがプラスになるのであれば、ゴーサインを出す一つの理由になります。

コストを下げようとして、商品の売買において、買掛金の支払いを先延ばししてはいけません。
通常、売買契約の中で、代金の支払いに対するペナルティを記載します。
支払いを先延ばしすれば、その分のペナルティが上乗せされますし、それ以上に、取引先との信頼関係が揺らぎます。

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この記事を書いた人
中越 成幸
日本大学大学院理工学研究科を卒業後、NECシステムテクノロジー株式会社(現:NECソリューションイノベータ株式会社)入社。 2010年にMBA取得後、合同会社アップクォーク設立。
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