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粉飾決算について知っておこう

粉飾決算について知っておこう

粉飾決算とは?

粉飾決算とは、違法な会計操作などによって財務諸表の実際の利益よりも過大に見せることです。
儲からない会社は、利益を大きく見せたいわけですし、物凄く儲かっている会社は税金を減らすために利益を少なくしようとします。

粉飾をしてまでも利益を過大に見せる根源は、外部の利害関係者に自分の会社を良くみせたいからにすぎません。
利益が減るとなると、株価にも影響しますし、経営者の能力をも問われることにもなります。
粉飾決算がまだまだ世の中から消えないのはこういった理由からです。

粉飾決算は完全に見抜けるのか

今では監査の厳格化などにより少なくはなってきていますが、それでも限界はあります。
わたし自身も以前監査にたずさわっていた身ですが、会社同士でグルになっている場合や証拠書類を偽造している場合、非連結会社を利用しての利益操作なども、調査などに割く時間も限られるため真実を100%見抜くことは困難です。

粉飾決算が行なわれやすい組織形態は?

これまで粉飾をした会社の特徴には、社長がワンマンだったり、事業部数がやけに多い経営組織であったり、情報公開が遅れがちな会社だったり、毎期の利益の増減があまりない会社などが挙げられます。
つまりは、経営の近代化がされていないために、会計操作がし易い状況にあり、企業同士の競争力や先行きに問題のある会社です。

粉飾決算の手口

ここでは粉飾決算にありがちな会計操作のパターンを見ていきましょう。

① 架空の売掛金と売上の計上、売上時期の操作をする。

架空の収益が計上されるわけですから、あからさまな利益の水増しですね。
その他に、翌期の売上を当期分として計上して売上原価を翌期に計上したり、不良債権を償却しないままでいるなど、売掛金は粉飾決算の宝庫と言っていいでしょう。
監査を行う場合も、売掛金に一番の時間を割きます。

② 棚卸資産の水増し、不良在庫を除却処理、評価減しない。

不良在庫は、もう使いものにならない資産ですので、除却処理もしくは、評価減として費用処理しなければなりません。
また棚卸資産の実際の数字を水増しして資産に計上するなど、棚卸資産に関する粉飾のパターンも多く見られます。

③ 引当金の計上

貸倒引当金ならば、回収見込みの全く無い売掛金に対する引当を小額に見積もったり、退職引当ならば、計算式を操作して少なく計上したりします。

その他、費用なのに資産として計上したり、減価償却費を少なく計上したり、当期の費用として処理すべきものを翌期に繰り延べたりと粉飾決算の手口は様々です。

粉飾を見抜くポイントは前期や更に前の事業年度の数字(科目自体の金額と比率)と比較することです。
もちろん細かい部分まではわかりませんが、異常に数値が変化していたりするとその内容を調べてみるとすぐにわかってきます。当然、会計監査も全ての科目について必ず前期比較を実施します。

粉飾決算が発覚した時の監査法人への影響

粉飾決算を見つけ出すのは、企業の監査役および会計士の役目なのですが、監査法人が役割を果たせないと、見つけ出すのは困難です。
例えば、オリンパスが損失隠しを行った事例では、2009年3月期までは「あずさ監査法人」が監査していたものを、以降は「新日本監査法人」に変えています。
あずさ監査法人が監査で粉飾を見つけた可能性があるので、新日本監査法人に変えるという荒技です。

さらには、2005年のカネボウの粉飾決算に加担したとして当時の中央青山監査法人の公認会計士が逮捕されています。
監査法人からすると、監査で収入を得る必要がありますので、意図的に粉飾を見過ごすという馴れ合いが行われたわけです。

世界的にインパクトのあった粉飾決算のエンロン事件では、監査法人アーサー・アンダーセンが、粉飾や証拠隠滅に関係したとして解散させられています。

罰則があるとしても、粉飾決算が今後も無くなることはないのだろうと思いますが、まずは、企業経営者の方は襟を正さなければならないと、自分に言い聞かせましょう。

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