中小零細企業から大企業まで、会社の日々の業務とは切っても切り離せない接待交際費。
経理担当をしていると、営業部門から回ってきた領収書を見ながら、これは会議費にしていいものか、交際費にするべきものか、他の科目で計上するべきものか・・・と悩むこともしばしばあるのではないでしょうか。
今回は、接待時に使用するタクシー代について、立場によって処理が変わってくるということをお伝えしたいと思います。
そもそも交際費とは何を指すのか
まずはどのような内容の費用を交際費として処理するべきか、その定義から確認していきましょう。
国税庁のHPによると、交際費は以下のように定義されています。
by 国税庁HP
若干固い言い回しとなっていますが、要するに、事業に関連する者に対して接待等をするために使ったお金は交際費であり、費用の名目は問いませんよというようなことを言っています。
それでは、この定義に基づき、接待時に使用するタクシーと交際費の関わりを見ていきましょう。
自社が接待をする場合の取り扱い
自社が接待をする場合に、経費としてタクシーを使うとすれば、以下のケースが考えられます。
②相手先(接待される側)の人間を接待の場へ送迎するために使用
③自社(接待する側)の人間が自宅等へ帰るために使用
④相手先(接待される側)の人間を自宅等へ送迎するために使用
相手先の送迎費用を負担した②④については、自社の人間ではないことですし、交際費っぽい感じがしますが、自社の人間の送迎となる①③についてはどうでしょう。
業務遂行のための費用ですし、領収書だけ回ってきたら旅費交通費として処理してしまいそうです。
しかしながら、税法上の解釈からすると、①から④まですべて交際費となります。
それは、どのケースも接待をするという目的のためにタクシー代を支出しているからです。よって、接待に係る飲食費そのものではないものの、接待等に類する行為に含まれるため、交際費等に該当することになります。
なお、仮にタクシーではなく運転代行業者を呼んで、その費用を支払った場合についても同様に交際費等に該当すると考えられます。
自社が接待を受ける場合の取り扱い
では反対に、自社が接待を受ける場合はどうでしょうか。同じように、ケース別に考えてみましょう。
②自社(接待される側)の人間が接待の場から帰るために使用
接待を受ける立場にありながら、先方のタクシー代を負担するケースは少ないと思われるため、自社の人間の行き帰りに使用する場合に絞って考えてみます。
先ほどは、接待等を行うために支出した費用ということで、すべてのケースが交際費ということになりました。そう考えると、今回も接待に関する支出のため、結局交際費となるのでしょうか。
実は、今回はどちらの場合も交際費等には該当しません。
それは、自社が接待を受ける場合において支出するタクシー代は、他社が行う接待を受けるために支出するものであり、得意先等に対して自社が行う接待のために支出するものではないためです。
まとめ
要するに、接待・飲食を行った際に支出したタクシー代は交際費等に該当し、接待を受ける際に支出したタクシー代については、交際費等に該当しないこととなります。
接待等に係るタクシー代は、税務調査において交際費等の加算漏れとして指摘を受ける場合が多いため、注意したいものですね。