中小企業の決算書
中小企業会が行っている会計上の経理処理と、税法上の経理処理には微妙な違いがあります。
そして、ほとんどの中小企業は、税法に合わせた決算書を作成しています。
なぜならば、中小企業会計要領などの会計基準に合わせて決算書を作ると、税法の基準に合うように、別表という税金の計算に使われる書類上で誤差を調整する作業が必要になるため、手間がかかるためです。
上場企業の場合には、株主など第三者の利害につながるため、日本だけでなく国際的にも誰が見ても正しい判断ができることが必要となり、会計のルールが用意されています。
ですが、上場していない中小企業には、そのような会計のルールがないため、このような税法に合わせた決算書でも問題がありません。
今の中小企業が決算書を作る目的には、正しい財務諸表を作るというよりも税金の申告をするためという意味合いが強いようです。
中小企業会計要領とは
非上場企業である中小企業には、会計のルールがありません。
そのため、非上場の中小企業のために、中小企業庁が定めた会計ルールが「中小企業会計要領」です。
ですが、非上場の中小企業は、この会計ルールに従わないといけないという法律もないため、この会計ルールは義務ではなく、あくまで普及という目的になっています。
なぜ中小企業にも会計のルールが必要なのか?
なぜ、上場していない中小企業にも会計のルールが必要かというと、中小企業でもある程度、財務諸表を開示する相手がいるためです。
例えば、融資を受けている銀行などがそれにあたります。また、最近では非上場の中小企業同士のM&Aも増えてきているので、そういった取引相手にとっても正しい財務諸表があることは非常に大きなメリットになります。
最近では中小企業会計要領に沿った財務諸表を作成している場合には、融資における金利を低くしたり、補助金や助成金に関係してくるなどの例もあり、中小企業会計要領という税法上ではない会計ルールを使うことが必要になり始めています。
中小企業会計要領と税法上の経理処理基準の違い
税法には、国の政策的な意味合いも強いため、少しでも税額が少なくなるような制度を導入したり、逆に税額が増えるような制度に変更したりということを行っています。
その結果、その時々の税法の制度に合わせて非上場の中小企業の経理処理も変更されてしまいす。
固定資産を例に挙げると、以前は税法上、取得価額が10万円未満のものについては、少額の減価償却資産として、取得した期に一括して損金(経費)として消耗品などの勘定科目で処理していました。
ですが今は特例で取得価額が30万円未満という基準があります。
つまり、以前の財務諸表と、今の財務諸表では会計のルールが変わって作られていることになります。
当然、損益も異なってきます。
ちなみに、中小企業会計要領での固定資産は、「長期間にわたり企業の事業活動に使用するために所有する資産」となっており、金額の指定はありません。(「法人税法で定める処理のうち会計上適当と認められる処理」という基準はあります。)
中小企業会計要領という会計ルールを適用するということは、このようなその時々で会計のルールを変えて作っている財務諸表ではなく、常に一定のルールに従った「正確な財務諸表」を作成しようという目的があります。